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§4') リペアレポート





オーバードライブユニット
 大阪在住のSADA氏こと赤井さんは、なんとODユニットを分解してトラブル解決。そのレポートをくださいました。以下は最初からのやりとりです。

SADA氏(修繕コンサルティングより)

  初めまして、私は大阪在住のMGB乗りです。私のMGは、クラッチが滑っているような症状が出ていて、購入後、2度目のクラッチ交換をしました。しかし改善されません。エンジンブレーキの時に、全てのギアで滑っています。特に長い下り坂など、今は、オーバードライブのワンウェイクラッチではないかと思います。

 ミッションのオイル交換などまめにしていた結果13万キロ現在でも作動はしていますが、OFFの時に滑ってきています、安価にて修理するにはどうしたら良いでしょうか、ちなみにエンジンは1度自分でOHをしていますので、ある程度の作業は自分でできると思います、どなたかいいアドバイスをお願いいたします。

MGB.JP@ふじた

 お返事が遅くなりました。MGB.JPの藤田信雄(岩ぞう)です。

 さて、お聞きした症状は、少々の状況の違いはあるものの、最近、複数の同じような内容のお問い合わせをいただいています。私の友人でMGB(78年)に乗っている者も、やはり低速走行(主に後退時)に同じような症状を見ています。

 MGBのオーバードライブユニットは、一般的なオートマチックミッションとい似通った構造をしており、件の「ワンウェイ・クラッチ」は重要な役目を果たしています。

 MGBの場合ワンウェイクラッチが作動するのは、OD不作動時。インプットシャフトの回転トルクを、効率よくアウトプットシャフトへ伝達するための仕掛け──「遊星ギア」に伝わったトルクを伝達するために「遊星ギアのハウジング」の反回転を制御する──です。

 その他にもODユニットには、ブレーキ構造(クラッチ構造)が複雑に備わっていますので、これらの不具合の可能性も捨て切れません。

 が、いずれにしてもOD内部のトラブルは、残念ながらOD自体のオーバーホール(または修理)が必須で、手の施しようが無いのが実状です。というのは、ご周知の通り、ペラシャフトの延長線上にある、いわゆる「パワートレーン」の一部ですので、これを迂回してデフへトルクを伝達することが出来ません。

 幾つかある対処方法の中で、最も安価なのは、ODユニットの換装と思います。  中古部品か、あるいは米MOSSなどにはリビルド品もありますので、これを利用する方法です。次ぎに、OD無しの4速ギアボックスに換装する事。同じく米MOSSなどには、リプロ品があると思います。最後はMGB用の5速ミッション(シエラの流用品)に換装。いずれの方法も、やはり10万円以上が必要かも知れませんねえ。うーむ。

 たとえが懇意なワークショップがあれば、一度、ODユニットを分解整備してみるのも、一つの方法かも知れません。うまくすれば、クラッチ素材を打ち直してくれる業者さんもありますので、換装だけは免れる可能性もあります。

 もっとマシな妙案がれば良かったのですが、申し訳ありません。私も再び、方々で調べてみますね。ヒントらしい事に出合ったら、またご連絡いたします。取り急ぎ、お返事まで。

SADA氏

 早速のご返信ありがとうございます。やはり、オーバードライブですねぇー、色々参考になりました。

 ところで、私のB子は、すでに3回ほどエンジンを下ろしていますが、何時も思うのは、 クラッチ交換の時にいちいちエンジンを下ろすのが面倒くさいことです。 ちょうどMTの左右に1本、メンバーが入っているのですが、これを取り外し式に加工すれば、プロペラシャフトを外して、エンジンを下ろさずして、MTを外せるのではと思うのですが、いかが思われます?

 又、オーバードライブ内部で溶接して、ODをoffのまま、直結してしまう事はどうか等を考えたりしています。シエラの5段は、確かに魅力ですが、高価で、手が出ません。国内の部品屋に問い合わせたところ、リビルトのODは12万円くらい、ワンウェイクラッチは2万5千円位との事でした。しかしブレーキ構造部分は5万円位するそうです。

 私の場合、あまり高速道路は使用しないので、ODは必要ありません。ご指摘どうり4速MTって言うのも良いですね、付いていないものは故障しませんし(^_^.)。中古の4速も探してみようと思います。又良いアドバイスありましたら教えてくださいませ。

MGB.JP@ふじた

 ご連絡をありがとうございます。さすがにお詳しいですね〜。クラッチ交換の際、エンジンを下ろさずに作業をするには、ギアボックスだけを車体下に抜き下ろせば、充分に可能です。

 リフトやピットレーンが無くても、フロアジャッキや馬があれば充分な作業ができると思います。さらに、目の付け所が大正解。実のところ昔のMGBは、ギアボッ クスのマウントが乗っている横向きメンバーの左右は、ボルトでシャシーに取り付けてあり、容易に外すことができます。実際、そのような加工をされているオウナーもいらっしゃいました。

 ご想像と察しますが、加工の際は一定の強度を保つ構造にしたほうがよろしいでしょうね。トルクを伝達する大きな部品が乗るので、ヤワなものだと心配になりますもんね。(笑)

 さて、オーバードライブの加工。

 たしかに直結に溶接すれば正常にトルク伝達を行うようなのですが、僅かな軸ブレがオイルシールやベアリングを損傷させますので、かなりの精度が必要になろうかと思います。 と、ODの構造はインプット/アウトプットのそれぞれのシャフトに、(ギアやスプラインを介して)様々な部品が嵌合して動いています。またオイル用のオリフィスなどもあり、油圧で作動するソレノイドスイッチ(デスビの進角に影響)がありますので、ちょっと一筋縄でいかないようにも思えます。

 トルク伝達の重要な箇所だけに、なにか代替えの良い方策があればよろしいのですが──。

 たとえば英国のブラウン&ギャモン(http://www.ukmgparts.com/)でリビルドODユニットの価格を調べてみました。£264というと、240円で換算すると、ざっと65,000円ですね。尤もこれは送料や消費税などが入っていませんから、部品屋さんで12万円は、さほど無茶な価格でもないようです。

 中古の4速ギアボックスなど、私もアンテナを張っておきますね。良さそうなお話しがあれば、お知らせいたします。

SADA氏

 お久しぶりです。大阪のsadaこと赤井です。

メールしましたのは他でもなく、私の80年MGBのオーバードライブの件です。自分なりにオーバードライブのリビルト?をしました。その内容をご報告いたします。

 今後のことも考えエンジンを下ろさずして作業ができるようにしました。

●1 まず車体のオーバードライブ後方の左右に渡るメンバーの切断です。ベビーサンダーで切断しましたが、最後まで刃が届かず、仕方なく鉄ノコを使いました。このセンタートンネルの幅はフロント側が広くリア側が狭くなっているため斜めに切りました、又トンネル幅より耳を15mmほど残し新たに厚さ2.5mmのアングルと鉄板を溶接した取り外し可能なメンバーの取り付けしろとしました。

 このメンバーはコの字型で下から取り付けます(センターに水抜き穴あり)。元のメンバーの上にかぶせる形です。かぶせしろは左右、約70mmです。ボルト8本で取り付けています。(元のものより頑丈です)

●2 室内のセンターコンソール、MTレバーを外し、トンネルカバーも外します。そこからMTのシフトホォークカバーも外します。プロペラシャフトとマフラー集合部より後方を外しミッションの下にジャッキをかけミッションをマウントごとはずし、(フロントマウントはそのまま)ジャッキで下に落とします。

 この時エンジンフードを開けて配線その他ホース類に影響がないか確認します。私の場合はエンジンヘッドのエンジン吊り上げ時のフックがバルクヘッドに当たる(ここにブレーキパイプが左右に走っていますのでつぶさないように注意しました)ぎりぎりまでMTを下げました。

●3 オーバードライブユニットごと(ナット8箇所)外し内部を分解しました。ワンウェイクラッチは異常なしでした。しかしブレーキ構造とトルク伝達をかねたメインのクラッチが滑りライニングがやけていました。

 この部品はテーパー状の円盤のようなもので、内側と外側にライニングが張ってあります。ODがOffの時は内側のライニングが働き、Onの時は外側のライニングが働きます。私の車は1〜4速で滑っていました。特に長い下り坂のエンジンブレーキのときなどです。OD作動時に滑る場合は外側のライニングのようです。

 部品ショップにて確認しましたがこの部品は¥39,000でした。私は、オイルパンガスケットとオイルシール、ODとミッション間のガスケット、シフトホォークガスケットを注文しました。

 ライニングは焼けて滑っていましたが厚みはまだまだいけそうだったので、ペーパーをかけて再使用しました。又、このライニングがあたる部分もひどく焼けていたので、やすりとペパーをあてました。又、このライニングを押し付けるスプリングがへたり気味に思えたので、1.5mmのワッシャを入れました、(これはあまりお勧めはできませんが)O#D$KAH$_$D$1$N:]L@$i$+$K6/$/$J$C$?%9%W%j%s%0$NH?NO$r46$8$^$7$?!"Kt!"$3$N#1!%#5#m#m$N8|$5$OFbIt$N%V%l!<%-%f%K%C%H$J$I$N@\?($b9M$(!"M>M5$r$_$F$$$^$9!#;dE*$K$OLdBj$J$$$H9M$($F$*$j$^$9!#

●4 組み付けは分解時の反対ですが、カム駆動のプランジャーユニットは外してから組み付けます。又、OD内部の遊星ギアとワンウェイクラッチのスプラインがそろうようにします。元どおりに組み付け、MTにエンジンオイルを入れました。ここまでが、本日、お昼までの作業です。

 お昼から10kmぐらいしか走っていませんので、まだなんとも言えませんが?ODの作動などは問題なしです、今のところ、滑っていません。(くれぐれも今のところです)その後は又、報告いたします。

 ODの中身の構造はそれほど難しくはありませんでしたが、こんなものでよく今までトラブルが無かったなぁーと思うくらい、頼りないものでした。すべてのトルクを幅10mmのライニングで受けているとは...。ライニングの張替えも考えましたが、テーパー状のライニングが手に入らず今回はあきらめました。これから探してみようと思います。又ご連絡いたします。

SADA氏

 こんにちは、赤井定徳です。その後のご報告です。

 オーバードライブ修理前は約15km走行後クラッチが滑るような症状が出ていましたが、本日、約110km走行いたしました。市街地が約60kmその他は、大好きな、峠です(~_~;)(年がいもなく)結果は、まったく症状は出ませんでした。\(^o^)/

 ODの作動も問題ありませんでした。当分は、このまま問題なくいけそうです。色々、アドバイスありがとうございました。又、連絡いたします。藤田さんも又、ご連絡くださいませ。又、同じような症状の方、おられましたら、お役に立つかわかりませんがご相談ください。

 では。
◇      ◇      ◇
 assy交換が当然と思い込んでいたODユニットも、きちんと修理ができるのですね。SADAさんの実行力には感服。こんな風に一台のMGBが復活すると、なんだか自分の事のように嬉しく思ってしまします。掲載のお許しをありがとうございました。
 SADAさんに直接訊いてみたい質問がありましたら、どうぞ私宛て(info@mgb.jp)にご連絡ください。お取り次ぎいたしますね。


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