「何とか公道デビューできました!」と、一報が飛び込んだ。
待ちに待ったMGBのレストア完了である。目出度い、まったく大いに目出度い...あ、いや、親友のMGBである。
ひょんなことから氏に出逢った。大阪のとある街に住む彼は1台のMGBと暮らしていた。予期せぬアクシデントでMGBを失われ、道楽から足を洗うか、さもなくば壊れたMGBを元の通りに復元するか、その選択に逡巡されていた頃だった。
MG遣いが集うNiftyServeのフォーラムで、氏は困っている旨を書き込まれた。逢ったこともない、話をしたことさえなったけれども、もしかしたら役に立てるか----お節介も甚だしく知る限りのことを返答した。それが始まりである。
しかし聞けば、MGBは相当なダメージなのだそうな。再生できる部品、新たに用意せねばならぬ部品、果ては部品取りのMGBまで用意され、これからレストレイションに挑もうとされる。
確かにMGBは、それぞれの部品が正しく装着され、性能を充分に発揮すれば必ず動く。生き物に例えてゴキゲンが悪いとか、今日は調子が良いとか比喩されるMGBではあるが、自動車とは、実に論理的に動いている機械なのだ。だから整備すれば、必ず動く。しかし...。数千点、いや万にも及ぶ部品の一つ一つを正確に組み立て、一台のMGBを蘇生させるなど、果たして本当にできるのだろうか。自分自身のMGBを分解しては組み立てたけれども、本格的なレストレイションなど経験が無い。
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