◆ワインディングロードにて
屋根の無いオープンボディならなおさらに、街なかの喧騒よりも山や海の長閑なところを目指して走りたくなるというものだ。
それも直線道路が続く単調な道よりも、大小のコーナーがつづら折りになった、見晴らしの良いロケーションが好い。
MGBを連れてそんなところに行けば、ああ、こいつと居てよかったなあ、としみじみ思えるのである。
軽快にコーナーをクリアして走り続けると、いつのまにかハイペースになってくる。運転している本人は気分がいいこともあって、そんなことはちっとも気づいていない。
しかし、スピードの上昇と共に車体の傾きが激しくなってくる。やがてアンダーステアが顔を見せはじめ、それを超えるとタイヤは臨界点を迎え、まもなくブレイクする。
「いや、俺のMGBはハイグリップタイヤを...」と豪語してみよう。
たしかにグリップの限界はさらに上昇し、コーナリング速度は速くなる。が、サスペンションはストロークの全てを使いきってインリフトを起こす。その瞬間、後輪のトラクションは失われ、やはりブレイクするだろう。
これらは、クルマが曲がろうとするとき必ず起きる車体の傾斜=ローリングが起こす弊害なのである。
それを防ぐために、MGBには『アンチロールバー』が装備される。そう、車体の傾きを抑え、シャープなコーナリングを実現するためのサスペンション部品だ。アメリカでは『スタビライザー』と呼ばれる、トーションバー型スプリング(ねじり棒バネ)である。
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